江戸川区議会 決算特別委員会レポート 「江戸川区・決算特別委員会傍聴記」傍聴6日目

志水さん
志水さん

 

みなさんどうも。志水です。

昨日の、おそらく江戸川区決算特別委員会史上に残ると思われる、

 

「区が記録を残さないのなら私が心に残す」的な迷答弁から一夜明け、

 

本日の審査項目は「都市開発費」と「土木費」です。

 

傍聴者も私が到着した時点で、すでに4名が着席(終了時には6名に)。

こうなると、他の方が真剣に傍聴しているのに筆者だけだらけているわけにもいかず、

討議に集中しようと思うのですが

 

 やっぱり、担当課長の表情くらいは見たいよなぁ、と心の中でつぶやいていたら、一番近くに座っていた区職員の方が、小声で「こんな椅子だと傍聴する人に失礼だよなぁ」と話していたのが耳に入りました。ありがたきお言葉。 ぜひ、今後の前向きなご検討をお願いして終わります。(終わるなよ)

<江戸川区の中と外> 

 

今日はまず、バリアフリーに関しての審査から始まりました。

京成小岩駅にエレベータが完成し、車椅子利用者の導線が確保されたことで、区内では一之江駅が課題として残っているとのこと。

ここから、線路の高架化や地下化でできる事業用地の利用について、鉄道事業者と自治体の関わり方などの関連質問があり、審査が熱を帯びてきます。

広く、「街づくり」に対する姿勢を問う内容といえるでしょう。

 

たとえば、葛飾区に位置するJR新小岩駅は、江戸川区の住民も多く利用しています。

 

この駅の周辺を整備する場合、江戸川区と葛飾区は共同で方針を練ることができるのか。江戸川区の利用者も多いのだから、より踏み込んだ形の協議をしてしかるべき」と主張する区議会自民党の渡部委員。

 

「策定はあくまでも葛飾区で、江戸川区側の意向も汲んでくれとしか言えない!」とする多田正見区長。

 

共同開発に近づけようとする渡部委員と葛飾区主導は動かないという多田区長の主張は、一見似た内容ながら平行線をたどります。

結局渡部委員が折れる形?で、より密な情報交換、隣接自治体からの意見を受け入れる門戸を開いていくという方向性の確認をもって、この審査は終了しました。

続いては環七通りを急行運行している「シャトルセブン」について。現在は1日に120便の運行ですが、乗客数も増加しているため、さらなる増便とともに千葉市幕張でマリンスタジアム行きに使用されている連結バスの導入が検討されるとのこと。

見てみたい気もしますが、バスの車長が倍になると現行ルートの走行に支障は出ないのか、気になります。

 

環七に沿って走る鉄道・メトロセブンのほうはまだまだ実現まで時間がかかりそうですが、

江戸川区の貴重な南北縦断交通機関であるシャトルセブンは、ひきつづき順調に運行してほしいものです

区画整理へと審査は移ります

区内には、現在も消防車などが入りづらい地域がいくつかあり、当該区域の再開発、区画整理が計画されています。しかし、そこで暮らしている方々の今後の生活に大きな影響を与えてしまうのが、再開発のもつ大きな力でもあります。たとえば、歴史のある商店街や高齢者の多い地域では、どのように計画をすすめていくのか? 

 

自分の住む地域の状況に関係なく、この問題に対する区の姿勢を知ることは、区が区民をどう考えているのかを判断するひとつの有力な材料になるでしょう。

 区側からは、各地域のまちづくり協議会などを通じ、住民の方々と丁寧に向き合って、話し合いをもって進めているという話。一方、「民主・ネット・えどがわ」会派、みんなの党、日本共産党江戸川区議員団の会派からは、実際にお住まいの方からの意見も交えた、現在の区側の方針に疑問を呈し、慎重に進めるような意見が出されます。他方、区議会自由民主党 藤澤進一委員のように積極的に推進すべきという声もあがります。

 

これに関連して、木造住宅などの耐震工事への助成金についての質問もありました。この際に、担当課長が      「住民の命を守ることも自治体の重要な使命」と答えたのに対し、質問した瀬端勇委員から「『も』ではなく『が』、『住民の命を守ることが自治体の重要な使命』でしょ?」との指摘もありました。

 

昨今は何かと、言葉尻を捕らえての大人気ない言葉狩りが目に付きますが、この指摘については「たんなる助詞の違い」として流すべきではない、行政ということにおいてひとつの要点であるように感じました。

<委員会は踊る?>

 

午後は、交通事故件数も増加している自転車の乗り方について。都内で事故発生数がワーストになっている世田谷区が、来春にも自転車利用憲章を制定することを発表しています。

 

これを参考に、江戸川区においても「自転車乗り方ルール」を考えてはどうか、という提案が、

みんなの党・上田令子委員から出されました。

 

現在、一部の道路に自転車専用レーンとしてブルーゾーンが設けられていますが、駐車や駐輪などで使用できないことも多いとか

筆者も自転車にはよく乗りますので、このルール策定には今後も関心を持ちたいですね。

 

駅前駐輪場の業務委託、従業員の賃金は?という質問では、区が契約している5社のうち、都の最低賃金で雇用している事業者が2社あるとの回答。

サービス内容について他の業者と差は無いのか?と疑問もわきます。

最低賃金ですから違法ではありませんが、他の事業者よりも待遇は低いのです。

 

こうした事業者にも諸般の事情があるのでしょうが、区の事業を委託させるわけですから、それなりの待遇を確約したほうがサービス内容も向上するのではと、「民主・ネット・えどがわ」会派の滝沢泰子委員が指摘します。

今なお復興への途上にある見えない被災地支援については江戸川区議会公明党の委員か ら、江戸川区職員はどのように取り組んだのかとの質問がありました。

 

江戸川区からは、宮城県気仙沼市と、液状化した浦安市へ派遣されており、気仙沼市では市役所の職員にも被災者が出たりしているため、長期間の派遣になっているとのこと。また、液状化が深刻な浦安市へは技術職員を派遣しているそうです。

 

技術職員のノウハウを継承することが重要、という内容の担当課長の発言もありました。

やはり経験や技術の継承は必要ということならば、前日のテーマとなった、保育士の経

験の継承も同じ話ではないでしょうか?

 

これに関連したやりとりとしては、今後は防災訓練にもさらにさまざまな事態を想定した実践的な取り組みが必要。車椅子の利用者など、実際の災害時に配慮が必要な当事者に参加してもらうことで備えの強化につながるという内容もありました。ただ訓練目的以外に、地域住民の絆も強まれば、さらに良いですよね。

<スーパー堤防>

さて、この日の委員会がもっともヒートアッしたのは、スーパー堤防問題でした。

用語の解説は本稿のテーマから離れるので省略しますが、

  

政府による仕分け対象になり、江戸川区に限らず大幅な規模の縮小を余儀なくされている土木事業です。

 

そのため、これまで通りに進めるか否かで、意見がふたつに割れた格好です。

 

ざっくりした書き方になりますが、区議会自由民主党と区長は推進派。

0メートル地帯をもつ江戸川区のスーパー堤防はこれまでどおり進めていく、という考え方です。

 

「民主・ネット・えどがわ」会派と共産党は、既存のスーパー堤防方式はいったん中止して、他の手段を含めて検討しなおすべきという立場で共通しています。

 

午前中に行われた、区画整理についての審査もそうでしたが、計画地域の住民の意見が、推進派と見直し派の両者から出されます。

 

筆者の印象に残った意見内容を、順不同・箇条書きで記しておきます。

 

多田区長

「ガチャガチャ言うな、日本ではこれまで何百年もかけて治水工事をしてきた。

治水工事は必要な事業だ」

 

みんなの党・上田委員

「治水が不要などとは一言も言っていない。最新の技術を取り入れるなど他の方法を検討すべき」

 

日本共産党江戸川区議員団・瀬端委員

「上流の対策から先にすすめるべきだ」

 

区議会自由民主党・渡部委員

「反対派は、反対のための反対をしている。税金が無駄だと金の話になっているが、それで片付ける問題なのか」

 

田中淳子副議長

「副議長としてたしなめたい」

 

もちろん上にあげた以外にも意見はありましたが、この問題にかける双方の熱意は傍聴

席にもしっかりと届きました。

 

このテーマからは外れますが、みんなの党・上田委員の

「反対派の委員も選挙で選ばれている」との発言も記しておきます。

ところで、筆者が担当させていただいた二日間を通して気づいたことがあります。68万人区民の代表である江戸川区議会(今回は予算特別委員会ですが)で、さまざまな意見がぶつかり合うのは当然のことで、区の方針についても、各会派が是々非々で審査を進めていくものだと思っていたのですが、どうも、担当課長を追及するような意見をほとんど提出しない会派があるようです。たった二日間の傍聴で決め付けるわけにはいきませんが、区長をはじめとする区側は、それだけでもかなりやりやすいのではないでしょうか。

 

最後に。区民まつりや花火大会などのイベント挨拶、また区民ニュースでのインタビューだけでは決して見ることのできない、多田区長のパッションあふれる答弁を生で味わえたのも貴重な経験でした。これも、傍聴したからわかったことです。

 

雲の上にいるような聖人君子が政治をやっているわけではない、長所も短所もある人間

が集まっているのだ、と再認識もできました。

 

不謹慎と言われてしまうかもしれませんが、「おもしろがる」ことから政治に関心を持てるし、自分の身近に引き寄せて考えるきっかけにはできる筆者には、そう思えます。

傍聴の機会を与えてくださった中の人と、駄文をお読みいただいた皆様に感謝して、

者の担当部分を閉じさせていただきます。