江戸川区議会福祉健康委員会 傍聴記
<智に働けば角が立つ>
SOUND CATCH OFFICE:山田宣昭
傍聴する委員会の開会時間は午前10時だというのに、僕は江戸川区役所の正面玄関に9時20分についてしまった。
この日、6月18日(火曜日)、知人(知合)・友人(友)・の滝沢泰子江戸川区議会議員と、この秋、9月1日に開催する「芸能・音楽フェスティバル」の打ち合わせがあった。
「ランチを区民広場でとりながらでどう?美味しいお弁当やさんがあるの」
と誘われ、せっかくだからと委員会の傍聴まですることにした。
区役所には、日章旗に区旗が青空に翻り、玄関の左側にはここのこの場所の水位を知らせる柱(正式名称を知らない)があった。柱は水色。水位が赤線で標されていた。どうやら、僕らはこの柱によると、水中生活者に近いらしい。
さて、議会受付で早めに傍聴受付をしておこう、と思った。以前、僕は関心の高い委員会は傍聴希望者が多くて、はじかれて傍聴できない場合もあると聞いたからだ。それもあり、前日、議会事務局に電話してみた。のんびりした声の若い女性事務員が電話にでた。
「明日、委員会の傍聴に行きたいのですが。手荷物検査とかありますか。服装とかのしばりとかは?(傍聴規則とかは?)」
「とくにありません」
「はあ。(セキュリティは)大丈夫ですかね」
「・・・」
「それと本会議での議員さんの席次表ですが委員会もありませんか」
「はい。ありません」
午前9時30分頃。
区役所西館3階の議会事務局の受付カウンターに。今日開催の委員会ごとに傍聴受付用紙があった。僕はどうやら1番乗りのようだ。用紙に必要事項を記載して係りの男性から傍聴許可の札をもらい胸につける。4階にあがり委員会室の前の廊下で持参の文庫本でも読むことにした。廊下は無人で清掃の女性がひとり掃除しているだけだった。廊下は気温が高くて暑かった。委員会室はもう空調が効いているのか、あるいは、すでに誰かいるかしらん、とドアを開けてみる。こちらも無人であった。僕は、長年の商売根性がでるのだろう。携帯カメラを持ち出してシャッターを切った。
この写真(右)がその委員会室。この記事と写真に対して議会事務局からなにかクレームがあるだろうか。あるとしたらどんなことだろうか。クレームなしに傍聴者の行為行動に対する規則ができるかもしれない。また、ある日突然、委員会室のドアに無断入室、撮影禁止と貼紙がされるかもしれない。とにかく、なんにも反応がないのもつまらない。
福祉健康委員会は定数9。福祉部、子ども家庭部、健康部に関する事項を審査する。この日現在の同委員会委員長は、窪田龍一氏。副委員長大西洋平氏。委員は、滝沢泰子氏、深江一之氏、太田公弘氏、伊藤照子氏、高木秀隆氏、八武崎一郎氏。欠員1。写真(右上)の奥から委員長副委員長、書記、左右に委員。手前が区役所執行部職員席。傍聴席は、この職員席の左右にパイプ椅子で10席あった。
今日この日、議会受付にあった資料中で福祉健康員会付託は1件。受理番号第156号の「中央育成室に関する陳情」だった。
午前9時40分頃。
まだ、無人の江戸川区議会第4委員会室前の廊下で、昨日、東葛西図書館で借りたばかりの新潮文庫『COSMOPOLIS』(ドン・デリーロ 上岡伸雄訳)を開いた。
「若くして超巨大ハイテクリムジンから秒単位で金融取引を続ける時代の寵児エリック・パッカー。NYをゆっくりと移動する車の中で、その日、彼は円の変動から巨億を失う危機にあった。しかも繰り返される謎の脅迫」。
デリーロ、2003年の作品は映画化されて日本でもこの春、公開されたばかり。映画が先か、小説が先か。図書貸し出しをネットで江戸川図書館に頼む。貸し出し順位は10番目くらいだっただろうか。昨日、やっと僕の順がきた。映画DVDのレンタルも早めにチェックしなければやばいかもしれない。
ともあれ、ジェットコースターなみに乱高下するこのところのTO株式マーケット。外国ファンドの超高速PCがその主要因と聞いては、このフィクションを楽しむ余裕が僕にはないかもしれないのだが。
<カモメの心臓は大きく強い。鳥の骨は中が空洞だ>なるほど鳥類はもっとも進化した生き物と僕も思う。それがP14。P17で<彼はサングラスをかけて、白いリムジンに近づいた>。
ここまで読んだところで職員がひとりやってきた。廊下には、建設委員会室の前に若い男性がひとり。文教委員会室の前に子どもづれの若い女性と中年の女性。彼は傍聴待ちの僕らひとりひとりに丁寧にこうつげた。
「本日は、職員の紹介がありますので、それが5分ばかりで終わります。ご案内までこちらでお待ちください」。なるほど、福祉健康委員会室に女性と男性2人が入り神妙に傍聴席のパイプ椅子に腰かけた。
10時00分。
執行部職員がぞろぞろ入室。委員の区議が入って。委員会室のドアが閉じられた。
正確に5分ほどで新職員2人は出て行き、僕は子どもづれの女性に続いて入室。彼女が一番前の席に子どもをひざに抱いて座った。子どもは5~6才の男の子だった。ここに来るのに慣れているのだろうか、キャラメルを片手にむずかりもせずにいる。僕は前から3番目に座った。滝沢区議は僕に気づいていなかったけれど、伊藤区議は「どこかで・・・」と、思っている様子だ。僕は彼女とは面識があった。子どもづれの女性は会議半ばで退室した。
委員会会議通常のフォーマットはこのようだ。
1)陳情審査
2)所管事務調査
3)陳情等の審査経過概要の確認
4)執行部報告
10時07分頃。以下の記述は、僕が会議の議事をメモしたものをであり、ディテールにおいて不備があるかもしれないことをお断りしておく。
開会。まず、事務局員が福祉健康委員会付託の本一色の方からの「中央育成室に関する陳情」を読みあげた。陳情原文は、平成26年7月より中央育成室が幼稚園の施設をそのまま利用する形で全面拡充される方針が出されています。以下の理由により、中央育成室に就学前の幼児の教育・保育施設を併設することを求めます」というものであった。
深江委員から、教育委員会とのやりとりも含めて、閉園からの時系列資料提出が請求された。滝沢委員からは、鹿本幼稚園の施設概要と図面の提出。障害者権利条約の資料、など5つもの要求があった。引き続きの審査事項は次の項目であった。
・ 原発事故後の放射能測定
(滝沢委員)給食食材の放射能線量測定。校庭や園内で育てた野菜の摂取。一般流通していない食材は?(A)保育園は使用してないが、学校のものは分からない。
10時30分頃。
9件の審査が発言がないまま継続審査となった。
10時35分頃。
執行部からの報告が続いた。
・ みんなの安心。介護保険料のパンフレットを13万2000人に配布した
・ 9月開園の古川親水園。現在、237名の申し込み
・ 小岩図書館を一部改修
・ 中等度難聴の子どもに補聴器助成
・ 地域別待機児童数192名
・ 江戸川うなぎ。放射線量こえと朝日新聞報道。セシウムが検出された。3都県で調査検査
・ 健康担当。「子宮頸がん予防ワクチンの接種を受ける皆様へ」案内書配布
<内容>現在、子宮頸がん予防ワクチンの接種を積極的にはお勧めしていません。接種に当たっては、有効性とリスクを理解した上で受けてください。の表記。子宮頸がんは、こんな病気。子宮頸がん予防ワクチンの効果。子宮頸がん予防ワクチンの接種についてのリスク。ワクチン接種後の注意。となっている。
HPをコピーした案内書きだった。
以下は会議を抜粋した。
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(伊藤委員)子宮頸がん予防ワクチンについて。テレビではリスク場面ばかりが流されている。その予防効果の必要な方もいると思われる。区としてのサポートは?(A)区民からの相談数は1~2件が現状。6月17日ホームページにアップ、同日、区内医療機関に周知した。
(滝沢委員)中等度難聴者支援について。補聴器は高価でもあり活用は万全に。学校医などに情報の周知を。(A)やっていく。
(滝沢委員)世界禁煙デーのポスター記述への問い合わせがあった。(A)出展さきの資料を次回提示する。
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上記の質疑以外に、審査をもっとスピーディーに。との要求があった。また、次回?からだか、審査の題目を省略し審査番号のみ伝え審査に入るとか・・。
傍聴者には何がなんだか分からなくなる。
11時15分頃。会議を終了。次回の予定日が伝えられた。職員と傍聴者退席。委員は残って研修旅行の打ち合わせをしたらしい。
12時頃。
区民広場で滝沢区議と昼食。午後3時頃までミーティング。
今日の案件。僕の注釈。
1)うなぎからセシウム。3月9日、江戸川で釣り人のうなぎから基準値越えの放射性セシウムが検出された。放射性物質の沈殿がある?うなぎの生態。それにしても女性の釣り人?放射線をわざわざ測る?とりあえず報道した朝日新聞を読むことにする。
2)中等度難聴。1対1の会話は聞き取れるが大勢の中での会話が難しい。
3)年金から天引きの介護保険料。年金ロボットに介護してほしいと妻がいう。
4)デイサービスのワイフ。今日、いまを大切に。さよならだけが人生だ。
終わりに:自治体議会が多様な市民の意見を反映し自治体としての意思形成に大きな役割をはたすべきだとすれば、区議一人一人も多様でなければならない。のだが・・・。政治には政治固有の原理があるそうだ。それは「権力」であると。上下左右。町内のボスは、テントとたこ焼き道具一式を提供した。おばさんたちはボランティアのたこやき団体を組織。おばちゃんボスが生まれた。会社員は社会を見ず、社業のみを見ている。労働時間の中に沈殿して、自分を見失う。K新聞のここ数日の一面を見ればいい。絶叫するその顔がおぞましい。
この世界には他者しかいないのさ